vSphere with Tanzuが与える影響(2020年9月15日時点)

Tetsuya Isogai
4 min readSep 15, 2020

TL;DR

vSphere with TanzuがvSphere 7.0 Update 1のリリースとともに発表された。これによりそれまでvSphere上でNativeにPodを動かすために必要とされていたVCF (VCloud Foundation) が不要になり、導入のハードルが著しく下がることが明確になった。

※なお所属する組織の見解とは当然ながら一切関係なく単なる妄想でございます。

リリースの内容

Officialのリリース内容はこちら

Many customers on vSphere, while looking to eventually move to VCF, wanted to get started ASAP with Kubernetes and asked us for a faster path to Kubernetes, but on their existing network and storage infrastructure. That’s why today, as part of the release of vSphere 7 Update 1, we’re announcing vSphere with Tanzu.

こちらのYoutubeも短くてわかりやすい。

所感

正直VCF with Tanzuの時は見る気もしないというか、誰が買うんじゃこれって感じだった。また正直NSX-Tとのインテグレーションを強味として押していくものかとてっきり思っていたのであっさりと切り捨てたのは意外。これはVCF付きでは思ったよりも売れず方針を転換したのか、最初高いと見せてハードルを下げるブランディング戦略なのか実のところを聞いてみたい。製品開発は急に舵を切れないだろうから、もとから予定されていたのだろう。

Kubernetesディストリビューション戦争に与える影響

主要な製品は3つに絞られると言われる。多数のKubernetesディストリビューションも今後少数の主要なプレイヤーに絞られていくだろう。

コンテナ化したアプリケーションを動かすためのプラットフォームが完全に不要な会社、および全く検討していない会社はごくごく少数と思われる。ほぼ全ての企業がなんらかの検討はしている。一方で
・既存のアプリをコンテナ化してどれだけおいしいの
・なんでわざわざエフェメラルなコンテナの上で俺のアプリ動かさなアカンの
・このアプリ2年前からほぼ手を加えてないんですがそんなのもコン(略
をベンダーに聞いてくる人々、移行に対する懸念を持つ層が存在するのも事実である。

そんな人たちにvSphere with Tanzuによって、
・vSphere 7 Update1にするだけでPod動きますよ
・ボタン押したらクラスタできますよ
・メンテナンスはvCenterからできますよ、これまでの人たちでできます
という体験をその層に届けると何が起きるか…。とてもハマるような気がしませんか。大多数のIT組織にとって、「今までの仕事を変える必要はありません」というメッセージは強く響くのではないだろうか。

R社はUpstreamの機能をOperatorによってその利用のハードルを下げながら、多数の新機能を取り込んでいくことでその価値を高めている。G社の製品もPublic Cloud上で得られる革新をオンプレミスに届けることができるものである。

それに比べて、vSphere with Tanzuが打ち出す世界観は正直退屈に映る。が、多くのIT組織にとってそれで十分とみなされていくのではないだろうか。

不透明なところ

・価格。Add-Onでどれくらい追加ライセンス料金を課するのか。
・サポート。Pod上のアプリケーションやPodからのネットワークの接続性など、どの範囲でサポートを提供してくるか。
・リリース頻度。KubernetesのUpstreamにどのように追いついていくロードマップなのか、その時のvSphereのUpdateは従来よりも簡易・安全になっているか。

などをリリースまでのアナウンスを追いながら拾っていきたい。

--

--

Tetsuya Isogai

Working at Microsoft/Cloud Solution Architect/Azure Core Infra